一人の女官は恋をした【短編、諸説あり】
「ああ。私はあのお方を恨んでる。姉を流し、私も流そうとしているあのお方をね。
だから、こう言ったのさ。
『神託を致しました所、王さまは神に対する少々貢ぎ物が少ないと思われます。ですから、五種の穀と人を神の子である私に届けさせろとのことにございます』
結果、技術者や人を大量に共を連れていくことになった。予定は2000を超える程度だが」
「2000…!」
「蓬莱の進んだ精度を学ばせるためと言っておいた」
「なんでそのような虚言を…神の子など…」
「…技術者を大量に連れていけば、王は困るだろう?帰ってこなかったらどうなると思う」
「…ま、まさか!」
麗は日子の考えがわかった。
彼は、船に乗ったものごと蓬莱で生活をしようというのだ。
乗っとりである。
技術者がいれば蓬莱でも不便なく生活できるだろうし、また姉にあえるかもしれない。
そう考えているのだ。
「お、王を騙すなど…大罪にございますっ」
「まあまあ…麗。私は忌み子が作った国を見てみたいんだよ」
悲しそうに笑う、忌み子の片割れ。
胸が痛むのは惚れた弱味ゆえだろう。