一人の女官は恋をした【短編、諸説あり】
また、物語り中の謎発言について解説をさせてもらいます。
“私は忌み子が作った国を見てみたいんだよ”
23p
日子はそう言っています。
さて、彼は国づくりを命じられていません。
あくまで“不老不死の薬を手に入れてくること”が使命です。
そのために信託をし、『手に入れたくば取りに来いや』みたいなことを神様が言っていたと虚言をいい、日子に取りにいかせたというわけです。
じゃあこの謎発言はなんだ。
答えは簡単です。
彼は元々神格の高いひとだという設定があります。
占いや祓いをさせたら右に出るものはいない。
彼は予知にも長けていました。
姉の日女である卑弥呼が国を治めていることを知っていたのなら?
双子の片割れである、忌み子が作った国を見てみたい、という発言だったのなら?
答えは繋がっていきます。
そもそも、復讐だけなら技術者のみならず、国中の美女や偉い政治家も連れていくべきです。
王の手元に残るのは無能な人間…くらいにしちゃうべきです。
なぜしなかったのか。
姉の治めている国には、美女も政治家も必要なく、ただ進んだ文化をもつ技術者のみが必要だったからなのでは?
また、五種の穀を持っていったのも、向こうで小麦とかを耕すためだったのなら?
全てが恐ろしいほどつながっていきます。
彼は、姉を支えるという理由もあったから、脱走計画を実行したというわけです。