一人の女官は恋をした【短編、諸説あり】
――あれから、一年がたった。
少年は徐福と名を改め、王の側で神官として活躍をするようになった。
あまりに当たりすぎる占いに、一部では神と崇められていた。
占いの域を越える予知。
また、穢れなどを落とす祓いにも優れていて、もはや人間技ではないと噂が立っていた。
そして、あの容姿。
真っ白な肌に、栄える黒き髪。
儚げな雰囲気に頬を赤らめない女はいなかった。
彼の人気は凄まじく、まさにうなぎ登りだった。
「へぇ…すごいのね…」
「本当…徐福さままだお若いのにこんなに素晴らしいなんて…私、彼に抱かれたいわ!」
「そんなこと考えてないで。ほら、簿記纏めるの手伝ってよ」
「えぇ…嫌」
「傀!」
「仕方ないわねぇ」
渋々と、傀は麗に習って木簡を手に重ねていく。
(……日子さまは、無理をしてらっしゃるのでは…?)
そう心の中で呟いた。