うちに動物が来た
「ただいま、」

「にゃぁぁああ!!!…おかえり!!」

玄関のドアを開けたと同時に猫が 飛びついてくる、その後人間の姿に なってすりすりと擦り寄ってきた。 よろけながらも玄関を閉め、靴を脱い で中に入る。 翼はまだくっついている。

「葵!!葵!!」

「翼だぁめ。ご飯作ってからね」

「えー、」

「…どうして翼はくっつくの?」

「だって葵の匂いがするから、オレの 大好きな匂い!!」

心底嬉しそうに翼は笑う。 翼の笑顔には裏がないな、なんて 思ってしまう程彼は純粋に笑顔を向け てくれる。

私の大事な家族。 たった二日、されど二日、私は翼の 笑顔に救われた。

「葵聞いてるー?」

「ごめん、何?」

「葵オレの事好きって言ってくれない から、嫌いなのかなって」

シュンと垂れた耳と尻尾が翼の気持ちを表していた。

か、可愛いっ…!!

よしよしと頭を撫でる、ひょこりと耳 が上を向いた。

「翼の事は大好きだよ。でも人間界 での好きはlikeとloveがあるから」

「らいく?らぶ?」

「家族とか友達とか、普通に好きって いう気持ちはlike」

「らぶは?」

「愛してるとか、家族や友達よりもっ と強い気持ちを表すのがlove、loveは 心に決めた一人にだけしか言っちゃい けないよ」

「…ふぅん」

一瞬だけ翼の顔に影が差した。 まるで何かを妬む様に。
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