うちに動物が来た
「葵大好き!!」

ガバッと抱きつく。 やっぱり“好き”を表現する時は抱きつくのが一番だ。

葵の肌はなんていうかこう…もちもち?ぷにぷに?しててなんか気持ちいいんだ。 それに大好きな匂いがする、それだけで安心出来る。

「もう翼。…そういえば、はすと仲良くなったの?」

「うん、まぁ。うぁー、葵大好 きー!!」

ぎゅう、と強く抱きしめる。 葵の細い身体がぴったり俺の身体と密 着して温かさが伝わってくる。

クスリ、と葵が笑った。 寂しかったの?と頬に触れた葵の両手 はひんやりしてた。

「つめたっ!!」

「あ、ごめん」

「…俺があっためる」

葵の細い両手を包み込んで口元に引き 寄せる。 はぁ、と温かい息を吐き出すとびくり と葵の指が動いた。

そのまま葵の身体を引き寄せた。 いい匂いが鼻の奥にまで届いて、あと 1ヶ月ちょっともしたら嗅ぐことも出来ないんだと考えると、涙が込み上げて来た。

「っ…う、」

「翼、ほら泣かないの」

「だってっ、あと1ヶ月もしたら、 葵と一緒にいらんないっ…」

「私も、翼と居られなくなるのは寂しいよ。だから一緒に入れる時間を楽しまなきゃ」

ね?と笑いかけた葵にうんと頷き返す。 涙を拭ってくれた葵の指にやわく噛み付いた。
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