うちに動物が来た
「あれ、葵また呼び出し?」

「うん…何でだろうね」

「ここ数日で葵が可愛くなったんだ よ、猫のおかげかもね」

猫のくせにやるなぁ、と小さく笑みを浮かべるはす。 最近はすは翼の話になると笑みを浮 かべる様になったと思う。 というかなんでもかんでも翼に持ってこうとする。

そして最近、私は男子からの呼び出しをくらう様になった。 翼がやって来て、2ヶ月が過ぎた辺りからだった。

「行ってくるね」

「あぁうん、待ってるよ」

ひらひらと手を振ってくれるはすに手 を振り返して、教室から離れる。

今時手紙を下駄箱に置いてくなんて、 珍しいっちゃあ珍しいけど、定番といえば定番なのかな。 そういえば翼が手紙の書き方を教え てっていってたけど手紙なんか書いて誰に渡すんだろう。

そういえば、最近身体を触られるのが嫌いになった。 いや、翼に関しては逆に嬉しいぐらいだけど、何だろうこの気持ち。

胸の奥がくすぐったくて、こそばゆい感じ。

「早く、家に帰りたい…」

早く、翼の居る所へ。 寂しがりやな彼が無邪気な笑顔で抱きついてくるから、ちゃんと抱き返した い。

私、末期かな。 でもね、もう翼には時間が無いから。
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