うちに動物が来た
「つーばーさー、クッキー焼けたよー、」
キッチンからリビングに向けて少し大きな声で呼び掛ける。 翼が来て2ヶ月半とちょっと。 翼の好き嫌いが何となく分かってきた。 例えばご飯の時、トマトと玉ねぎには 絶対手を付けないし、たまに抱き抱えて外に出るとゴミを漁っているカラスに過剰反応する。 その代わり味の濃い物が好き。
可愛らしい彼だが、少し声が大きいのが難点。 それはネコ姿でも変わらない。
そんな彼からの返事が無かった。 気になって見に行くと、ソファーで丸まったネコ姿の翼。
「どうしたのつば…」
「う"ぅ"っ…」
「…翼?翼?どうしたの?」
低く唸る翼。 その表情は辛そうにも見えた。
黒いごわついた毛を撫でて起こす。 ゆっくり人間の姿になると、私を見上 げ抱きついた。
「いやだ、」
「翼…?」
「葵、やだよ、」
「…大丈夫、大丈夫だよ翼」
翼のネコ耳がふわふわと首を撫で る。 頭が痛いって泣きそうな声、その度に抱きしめる力が強まる。
大丈夫、きっと。 翼は一人じゃない、私が居る、頼って欲しい。
「葵、」
「ん?」
「これからずっと、甘えていい?」
「?いいよ」
この時はまだ、翼の言葉の意味が分からなかった。
キッチンからリビングに向けて少し大きな声で呼び掛ける。 翼が来て2ヶ月半とちょっと。 翼の好き嫌いが何となく分かってきた。 例えばご飯の時、トマトと玉ねぎには 絶対手を付けないし、たまに抱き抱えて外に出るとゴミを漁っているカラスに過剰反応する。 その代わり味の濃い物が好き。
可愛らしい彼だが、少し声が大きいのが難点。 それはネコ姿でも変わらない。
そんな彼からの返事が無かった。 気になって見に行くと、ソファーで丸まったネコ姿の翼。
「どうしたのつば…」
「う"ぅ"っ…」
「…翼?翼?どうしたの?」
低く唸る翼。 その表情は辛そうにも見えた。
黒いごわついた毛を撫でて起こす。 ゆっくり人間の姿になると、私を見上 げ抱きついた。
「いやだ、」
「翼…?」
「葵、やだよ、」
「…大丈夫、大丈夫だよ翼」
翼のネコ耳がふわふわと首を撫で る。 頭が痛いって泣きそうな声、その度に抱きしめる力が強まる。
大丈夫、きっと。 翼は一人じゃない、私が居る、頼って欲しい。
「葵、」
「ん?」
「これからずっと、甘えていい?」
「?いいよ」
この時はまだ、翼の言葉の意味が分からなかった。