うちに動物が来た
最近、頭が痛い。 人間界に来て2ヶ月半 ちょっとが過ぎ、あと一週間だと帰還宣告が鳴り響いて止まない。



うっせぇ、そんなの分かってるっつの。

心の中で悪態を吐きつつ、ネコの姿で葵の部屋へ入る。 ベッドでごろごろしていた葵は俺を抱き上げ、仰向けになった状態で俺を見上げていた。

「翼はもふもふしてていいなぁ」

「人間になればもふもふしてないけど」

「うわぁ、わぁ…」

するりと葵の手が離れる、オレが人間 になったから。 仰向けになった葵の上に両手と両膝をついて葵を見下げるオレ。

イヤだ、好きだ、大好きだ、離れたくない。

冬の空気は寒い。 もぞもぞと葵の布団に潜り込みぎゅっ と抱きしめる。 葵はあったかい。

「どうしたの翼」

「今日は一緒に寝る、」

「そっか、寒いもんね、」

「ん…葵、」

泣きたくなった、こんなに葵が近いの に遠く感じる。 ずっと一緒に居ような、って抱きしめ る力を強めた。

小さくうん、って返って来た。

「…大好き」

小さくそう呟いて、目を瞑った。
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