うちに動物が来た
葵が学校に行った。 もう慣れた事なので、 今日はやるべき事をしようと思う。

「うーし、やるぞぉ!!おー!!!」

一人気合いの掛け声を出して、オレは 何をしたら葵が喜ぶか考えていた。 はす君から聞いたこと、人は別れる時よく手紙を使うって。 そこに相手の好きなものを添えるともっと良いって言ってた。

葵の好きなものって何だろう。 よく考えてみればオレは葵のことあま りよく知らない。 蓮君に聞くのが早いかな。

「ほっとけーき…とか、作り方わかん ねぇし」

やっぱり女の子だから服とかアクセサリーとかかなぁ。 じゃあ…オレ等の世界で買ってくる か。

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「なーあー、女の子ってどんなもんが 好きかなぁ」

「…好きな子でも出来たんですか」

「うん、出来た。可愛い」

「どないな子なんですか?趣味とか分かれば探しますけど」

「知らん!!オレが選ぶ!」

とある関西弁の狐野郎がバイトしているアクセサリーショップ。 黄色く先が少し茶色くなった耳にふさふさの太い尻尾を揺らしてニマニマとこちらをやらしい目で見つめる。

葵にはきっと淡い色のものが合うんだろうなぁ。

「人間界はどうですか?」

「良いと思う、少なくともオレは帰っ てきたら学んだ事を上に報告して人間界で暮らすつもり」

きらりと光る水色の丸いペンダント、 先には黒い毛の様なものが付いてい る。 そのペンダントを手に取り、ムカつく 笑みを浮かべる前の奴に差し出す。

値段を言ってふっと小さく笑顔にな る。 袋に入れてもらい、お金を手渡した。

「私も、人間界行ってもええかもしれませんね」

あぁもう日が暮れてる。 早く帰んなきゃ。
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