うちに動物が来た
「美緒、美緒」



ついさっき、お姉ちゃんと一緒に母さんが帰ってきた。
リビングでこんな状態の俺と美緒を見つめ微笑を浮かべると、母さんは夕飯の支度にお姉ちゃんは宿題に取り掛かった。
父さんもすぐ帰ってくるらしいから、美緒を起こしている。

うっすらと、瞳が見えた。



「んー…はすくん?おはよぉ…」

「おはよう美緒、母さんとお姉ちゃんが帰ってきたよ」

「ほんとだ、ままおかえり」

「ふふ、ただいま。はすのお膝で寝れて良かったわね、母さんも癒してもらいたいわ」

「!!だ、だめっ…!はすくんのおひざは美緒のなの!!」



キッチンから母さんが優しい笑顔でそう言うと、美緒は焦った様に声を大きくして反論した。
ぎゅっと起き上がった美緒に抱きしめられる。

別に俺は美緒のじゃないんだけどな、そんな微笑ましい会話を美緒に抱きしめられながら聞いていると父さんが帰ってきた。
我が子ー!と言って俺と美緒を抱きしめた父さんに、俺は家族として認めてもらえたのかと少し嬉しくなった。



「どうした、嬉しそうだな」

「…家族に、なれたのかなって」

「?はすくんはかぞくだよ?」

「…家族って、あったかいね」



思ったことを呟いて、美緒と父さんに回した腕の力を強めた。
キッチンの方から小さな笑い声が聞こえた。
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