うちに動物が来た
「え…俺は入れないの?」
「はすごめんね、ここで少し待ってて」
病院に搬送された美緒はかなり風邪が重くなっていた様で、すごく辛そうな顔をしていた。
それに美緒の病室には入れないそうで。
「…俺が、本当の家族じゃないから?」
「はす…」
「大丈夫だよ、待ってる」
目頭が熱くなって、着てきたパーカーのフードを深く被って三人の“かぞく”を見送った。
俺はやっぱり美緒の本当の家族になれないんだ。
悔しさと悲しさが込み上げて、唇をぎゅっと噛み締めると少し痛くて血が出ていた。
でもそんなの気にならないくらい、ズキズキと心が痛んだ。
「ままのばかッ!!はすくんはかぞくでしょ!?はすくんは、美緒たちのかぞくでしょ!?」
突然病室のドアがすごい勢いで開き、顔を真っ赤にした美緒が出てきた。
ふらつく美緒を支えると、泣きそうに潤んだ瞳が俺を見上げた。
どうせ俺には、本当の家族なんて居ないんだと寂しさが感じられる。
「はすくん…、おくち、きれてる」
何時だったか俺がした時の様に、小さい手で両頬を包み込んで身体を起き上がらせる。
優しく唇に触れた少女の唇は驚くくらい長い一瞬で離れた。
誰も居ない病院の廊下に、小さなリップ音が響いた。
「はすごめんね、ここで少し待ってて」
病院に搬送された美緒はかなり風邪が重くなっていた様で、すごく辛そうな顔をしていた。
それに美緒の病室には入れないそうで。
「…俺が、本当の家族じゃないから?」
「はす…」
「大丈夫だよ、待ってる」
目頭が熱くなって、着てきたパーカーのフードを深く被って三人の“かぞく”を見送った。
俺はやっぱり美緒の本当の家族になれないんだ。
悔しさと悲しさが込み上げて、唇をぎゅっと噛み締めると少し痛くて血が出ていた。
でもそんなの気にならないくらい、ズキズキと心が痛んだ。
「ままのばかッ!!はすくんはかぞくでしょ!?はすくんは、美緒たちのかぞくでしょ!?」
突然病室のドアがすごい勢いで開き、顔を真っ赤にした美緒が出てきた。
ふらつく美緒を支えると、泣きそうに潤んだ瞳が俺を見上げた。
どうせ俺には、本当の家族なんて居ないんだと寂しさが感じられる。
「はすくん…、おくち、きれてる」
何時だったか俺がした時の様に、小さい手で両頬を包み込んで身体を起き上がらせる。
優しく唇に触れた少女の唇は驚くくらい長い一瞬で離れた。
誰も居ない病院の廊下に、小さなリップ音が響いた。