うちに動物が来た
「なんで報告をさせてくれないんだよ」

「王は今病床に就かれている、王のお身体が第一だ」

「だったら他の奴が見ろよ」

「お前達の様な平民より王が大切なんだ。人員を割いている余裕はない」



とわこさんに書いてもらった観察結果を片手に王に報告に行けば病床に就き見られないと門前払いを受けた。

思えばこの世界はこの王になってからというもの腐った様に見える。
王が凡ゆる権利を乱用し、子供が苦しみ大人が貧富の差で嘆き国は混乱状態だ。



「はすさん、どうでしたか?」

「…まるで話を聞いてくれませんでしたよ」

「……全く面倒くさいですね、今の王宮は。早く交代すればいいものの」



とわこさんの横につき王宮の門から離れる。
王宮への愚痴を零すとわこさんの手には、一枚の紙が握られていた。

よく見ればそれは人間界に行く為の許可書で……ん?



「とわこさん人間界行くんですか?」

「えぇまぁ…まだ日程は決まってませんがいつでも行けるようにと思いまして」

「…そういえば、どうして俺たちは皆人間界の日本に飛ばされるんでしょう」

「色々説はある様ですが、何でも生まれた国に飛ばされるとか。まぁ言語もそちらの方が助かりますが」



その制度に少しのありがたさを感じた。
じゃなければ俺が美緒と出会うことは無かったのだから。
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