駆け抜けよ
しかし、ふともう一度少女を見やり、ナキは思った。


あ、なかなか良いとこのお嬢だ。と


喋り方や立ち振舞いは優雅で、身につけている服の生地など全てが普通の娘には手の届きようもないほどの上等な品。

確かに案内するの面倒臭いことこの上ない・・・・
が、もしや連れていけば謝礼として何か貰えるやも知れん。

今、ナキの中で面倒臭いと謝礼が天秤にかけられ揺らいでいる。

若干、謝礼の方に傾いてはいるが


「わーった。案内しようじゃねぇの・・・・どこ行きたいんだ?」


結局、悩みに悩んで数分、謝礼が彼の中で勝った。

そんなことも露知らず少女は嬉しそうに「ありがとうございます!!」と笑顔で何度も礼を言った。

悩んでいたナキを見て、断られるのではと不安になっていたらしい。
大きく息を吐き、胸をなで下ろしていた。


「あー、礼は要らんから、行き先だけ教えろ」


自分の頭を乱暴に掻きながらナキは聞いた。
その様子から慌てて謝るのをやめ、少女は


「実は・・・・この國の城主様にお会いしたいのです・・・・城までの案内をお願いできますか・・・・?」


恐る恐るといったように小さく言葉を発した。


「・・・・はぁ?」


ナキは目を大きく見開く。
何すっとぼけた事を吐かすんだコイツ。とでも言いたげに
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