駆け抜けよ
「・・・・あの、私なにか変なことを言いましたか?」


少々困惑しながらに少女はナキに問うた。


「アンタ、何も知らねぇんだな」


此処には城主なんてもんは居ねぇよ

呆れたように彼は言葉を紡いだ。


「・・・・え!?まさかそんな・・・・有り得ない・・・・」


本当に知らなかったのか、戸惑ったように声を漏らした。


「どこの嬢ちゃんだよ、お前。こんなことうちの國の奴、誰だって知ってらァ」


頭を乱暴にガシガシ掻きながらナキは世間知らずな娘、と少女のことをそう思うことしにた。


「・・・・兄さま(にいさま)や側にいた者たちは皆、無の國のこと全然教えて下さらなくて・・・・」


ポツリと言い訳のように視線を逸らしながら少女は気まずそうに言った。


「側付きがいのかよ・・・・」


ただのお嬢じゃなかった。箱入り娘だ。

にしても、いい気はしない。
その兄さまは、一体無の國の何が不満なんだが・・・・あぁ、何もねぇところか?

なんてナキが色々考えている間、ずっと少女はオロオロと悩んでいた。


「んで、そこまで城主にこだわるんだ?居ても居なくても、おめぇにゃ関係無かろうに」


ずっと気になっていた。
何故、知らなかったとはいえこんな辺ぴな所まで来たのか

何故そこまで焦っているのか


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