谺する愛
真知子は忘れかけて居た、
親子三人の日曜日の行楽を思い出して、
涙が止まらなかった。
男性に気付かれないように、
霞む眼をハンカチで覆った。
令子は振り向きもせずに、
くるくる回転する
立ち乗りを楽しそうに乗って居る。
教える必要のなくなった男性は、
真知子とあの夜の風景を、
蘇らせて会話に弾んだ。
もう令子の存在は気にしなくて良い。
お昼間近な時間になった真知子は、
男性の傍に寄り、
「どうでしょう。弁当を準備して来ましたから
ご一緒に食べて頂けませんか。」と言うと
「嫌~僕もお惣菜屋から、
弁当を買って来ましたよ」と
言う側に、令子が走って来た。