谺する愛




登山口の裏側から登る中腹の


秘湯の温泉に、一度宿泊してみたかった。


夏の山肌は青く、湖がエメラルドに光り、


夏の空と山を飲み込んで、


蒼く輝く風景は絵画そのものだった。


裏側の中腹には、


ぶつぶつと泡立つ硫黄の匂いが、鼻を突き、


咽ぶほど喉が痛む、


真白い湯気がもうもうと立つ池である。

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