谺する愛
小森は何処を歩いたのか十分ほどの
時間で戻って来た。
小森は真知子に告白する想いを
整理するために歩いて来たのだ。
何も考えないような平静さを装った小森は
自分の想いを打ち明け始めた。
「真知子さん私の願いを訊いてはくれないだろうかね。
山の中の生活が駄目かなあ~。」と
不安げに聞いて来た。
真知子は即答は出来ない。
令子の考えもあり山の生活など
考えても見たことがないし、
牛の世話など出来る筈がない。
返事に困った真知子は、
山が好きだけど山に生きることは
簡単ではないと思った。
と、言ってこのまま別れることも、寂しかった。