谺する愛


景子は小森と視線を合わせることが出来なかったが


最後の握手を求めた。



小森は、景子と息子をしばらく抱き締めて居た。


流れた月日が虚しく、悲しかった。


皮肉な運命を嘆いた。


一夜明けた小森の心は2つに割れそうな苦しみに


苛まれながら家路に着いた。


小森は苦しんだ一夜の表情を必死で元の表情に



戻しながら家路を辿った。



真知子は嫌に落ち着いて居た。


小森は疲れも見せずに明るい顔を装った。


真知子も何もなかったかのように


明るいかを装い小森を迎えて言った。


「予想外のことがあったら戻ろう。」と言う


令子の言葉を頭に記憶して居た。


真知子は迷いもなく小森に言った。


「お父さん、私が別に暮しますよ。

令子もそんな予想はして居たのよ。」と言うと



小森も迷うことなく、



< 56 / 69 >

この作品をシェア

pagetop