谺する愛



真夏の暑さを忘れてしまいそうな


涼しい風が山並みを吹き抜けて行く。



「どちらからいらっしゃったのですか?」と


真知子が聞くと、男性は 


「風来坊ですよ。」と


寂しげに応えて来た。




真知子が、もう一度聞き返すと、


「嫌、風来坊です。」


と、また力を入れて答えた。


< 9 / 69 >

この作品をシェア

pagetop