《詩集》螺旋階段

姿見

『姿見』


所在なさげな左手と
忙しなく数式を解く右手

ヘッドフォンから
爆音で歌を流して
外は静かだと
決めつけるように逃避する

優しすぎる君の声が
何処からか
隙間を抉じ開けて入り込むのを

私は密かに望んでいたのに

擽る吐息
揺さぶるようなその言葉
気付かないフリをして
澄ましてる

君に言っても良かったの?
君に訊いても良かったの?

確かめるのが怖いんだ

もしかするとって
そんな推測の先にある真実を
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