毒舌とうさぎ




しばらく20分間は草むしりをしていた



俺はダルかったが栗原はテキパキと動いていたので俺もそれにつられる



「休憩しようぜ」


「だめだよ、終わってない」



鬼畜かよこいつ!




そう思いながらも俺は栗原に合わせた



そして俺は一つあることに思い出す




昨日公園で話したことについてだ



「そういや、1日だけ言うこと聞くって言ったけど
いつがいい?」




草をむしりながら俺は言った



俺が言うと彼女の手は止まった



「本当に1日だけ?」



また弱々しく俺に聞いてきた



俺は「うん」と言いながら草むしりを続ける




「じゃあ夏休みお祭りに行きたい」



「は!?」



俺は思わず大きな声を出し眉間にしわを寄せた



「なに?俺と?」



「うん」



なに考えてんだこいつ



早希と一緒に行くかもしれないお祭りだ



なぜ俺がお前と行かなきゃいけねーんだよ



正直そう思ったから俺は言い訳した



「今俺はお前の誘い断る権利あるぞ?
だって1日言うこと聞くだけだからな
今日そのお願いは聞けない。だから行かない」


「じゃあお祭り当日に誘えばいいよね?」



と、何も言えない返しをされた



ち、ちくしょー



俺はむしった草を彼女の顔面にこすりつけるのをかろうじて抑える



「わかったよ」



承諾せざるを得なかった




そして俺はある違和感を感じた



何かもやもやする



草むしりを始めた時からだ



おかしい



俺はヘソの下の違和感がなんなのかは知っていた



これはまずい


「ごめん栗原」



俺は立ち上がって栗原を呼んだ



こちらを見る栗原



そんな栗原を見ててももう我慢は出来ない



「しょんべん行ってくる」



俺は校舎裏のトイレを目指して足を動かす



「え?」



驚いた様子の栗原



しかしこの尿意には勝てないのだ



「急げ!間に合わなくなるぞ!」


俺は早歩きに変える



「そ、そんな、無理」



無理なのはこっちの方だ



俺はもっと早足で歩く



「ひゃあ!」


栗原がよろけそうになるところを俺の肩にしがみつきかろうじてセーブする



しかしばかやろー動かすな!漏れたらどうする!



栗原は「なんで今なの?やだよ」



と言うが俺を止めることは出来なかった


華奢な栗原は腕力まで華奢で俺の腕を引っ張ったがまるで無意味だった



イラっとした俺はついに



「うごかすなっつてんだよ
コロスぞ?」



目で栗原を殺した




怯えた栗原はその後俺の歩くペースに合わせた




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