情熱のメロディ
夢
(1)
「本当ですか?」
アリアは信じられない気持ちで彼女と向かい合って微笑む父を見た。驚きながらも嬉しさの滲んでしまう声は、憧れの人に選ばれたという事実が胸を熱くするからだ。
「あぁ。今朝、王家から手紙が送られてきた」
そう言う父の表情は、普段以上に柔らかく心からアリアに起こった出来事を喜んでくれている。同時に一枚の上質な紙を差し出されたアリアは、震える手でそれを受け取り、目を通していった。
宛名には確かに“アリア・シュレマー”と自分の名前が書かれており、丁寧な挨拶文の後、今年の音楽祭のメインゲストとしてアリアを招待したいという旨が書かれていた。手紙の最後には、フラメ王国第一王子の直筆の署名がしてある。
カイ・ブレネン――その流れるような綺麗な文字を指でそっとなぞってから、アリアは左胸に手を当てて、服をギュッと握った。
心臓の音がうるさいほどに響いて、痛い。コンクールやコンサートの前でさえ、こんなに緊張することなどないというのに……
アリアは信じられない気持ちで彼女と向かい合って微笑む父を見た。驚きながらも嬉しさの滲んでしまう声は、憧れの人に選ばれたという事実が胸を熱くするからだ。
「あぁ。今朝、王家から手紙が送られてきた」
そう言う父の表情は、普段以上に柔らかく心からアリアに起こった出来事を喜んでくれている。同時に一枚の上質な紙を差し出されたアリアは、震える手でそれを受け取り、目を通していった。
宛名には確かに“アリア・シュレマー”と自分の名前が書かれており、丁寧な挨拶文の後、今年の音楽祭のメインゲストとしてアリアを招待したいという旨が書かれていた。手紙の最後には、フラメ王国第一王子の直筆の署名がしてある。
カイ・ブレネン――その流れるような綺麗な文字を指でそっとなぞってから、アリアは左胸に手を当てて、服をギュッと握った。
心臓の音がうるさいほどに響いて、痛い。コンクールやコンサートの前でさえ、こんなに緊張することなどないというのに……
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