情熱のメロディ
心地良い――この音楽室は雑音がない世界だ。外へ出れば皆がアリアの噂をする。賞賛もあれば嫉妬もあるが、それがどんな種類のものでもアリアにとっては雑音でしかない。そしてそれに対して心を砕き、笑顔で対応すること――アリアの望まない駆け引きは苦痛だ。
けれど、この音楽室には文字通り“音楽”しか求められない。今までは自分の家だけだった音楽の世界が、ここにも……カイと一緒でも、作れるということが嬉しい。
軽く指慣らしをした後、カイとアリアは練習してきた「夢」を一度合わせてみることにした。アイコンタクトと呼吸でお互いのタイミングを合わせ、バイオリンの音色を響かせる。その幻想的なメロディはアリアを「夢」へと誘う。
この曲は、ミュラーが王妃に送ったと言われている曲だ。ミュラーが生きた時代は、政略結婚が主流であったけれど、ミュラーと王妃は仲睦まじかったという。
ミュラーの日記はとても綺麗に残っており、その一部はフラメ王国の芸術博物館にも飾られているため、アリアも読んだことがある。
ミュラーの筆跡は、彼の書くメロディと同じように繊細で流れるようなもので、紡がれる彼らの日常も情緒に溢れる表現で書かれている。きっと、彼は音楽以外の芸術の才能にも恵まれていただろう。
「ぁ――!」
しばらく心地よいメロディに乗っていたアリアの意識がふと途切れ、アリアは小さく声を上げた。カイも眉を下げてアリアを見つめている。
けれど、この音楽室には文字通り“音楽”しか求められない。今までは自分の家だけだった音楽の世界が、ここにも……カイと一緒でも、作れるということが嬉しい。
軽く指慣らしをした後、カイとアリアは練習してきた「夢」を一度合わせてみることにした。アイコンタクトと呼吸でお互いのタイミングを合わせ、バイオリンの音色を響かせる。その幻想的なメロディはアリアを「夢」へと誘う。
この曲は、ミュラーが王妃に送ったと言われている曲だ。ミュラーが生きた時代は、政略結婚が主流であったけれど、ミュラーと王妃は仲睦まじかったという。
ミュラーの日記はとても綺麗に残っており、その一部はフラメ王国の芸術博物館にも飾られているため、アリアも読んだことがある。
ミュラーの筆跡は、彼の書くメロディと同じように繊細で流れるようなもので、紡がれる彼らの日常も情緒に溢れる表現で書かれている。きっと、彼は音楽以外の芸術の才能にも恵まれていただろう。
「ぁ――!」
しばらく心地よいメロディに乗っていたアリアの意識がふと途切れ、アリアは小さく声を上げた。カイも眉を下げてアリアを見つめている。