情熱のメロディ
それから、アリアが元の服に着替え終えると、カイは城下町で人気のカフェへとアリアを連れてきた。
服飾店から何軒かのとても近い場所で、徒歩で移動したが、すれ違うすべての人がカイの姿に振り返る。上流階級の者たちが多いこのエリアには、国王や王子・王女たちと直接面識のある人ばかりなため目立ってしまう。
カフェは2階建てで、1階にはショーケースの中に宝石のような色とりどりのケーキが並び、棚にもチョコレートや焼き菓子などがたくさん並んでいる。2階ではそのケーキをコーヒーや紅茶と共に食べられるようになっている。
カイは1階でケーキと紅茶を注文した後、顔見知りらしい店員に軽く手を上げて2階へとアリアを連れてきてくれた。そのまま奥の個室に入り、2人は向かい合って座る。
カイもアリアも、座った途端にホッと息をつき、同時に零れたそれに、お互いを見合って視線が合うと笑いがこみ上げた。
「この距離でもダメだったね」
カイは注目されることに慣れていると思っていたが、そういうわけではないらしい。
「でも……カイ様のことを知らない方はいないでしょう?」
「そうだね。僕は、この国の王子で……次期国王だって皆が思っているから」
カイの眉が下がり、困ったような表情になる。カイとこんな風に顔を合わせるようになってから、何度も見ているその笑顔は哀愁の漂うものだ。
「お仕事は……大変、ですか?……っ、そ、そんなの、大変に決まっていますよね。ごめんなさい。変なことを聞いてしまって……」
口にしてから当たり前のことを聞いてしまった自分が恥ずかしくて、アリアは髪を撫で付けながら慌てて付け足す。すると、カイは軽く首を振った。
服飾店から何軒かのとても近い場所で、徒歩で移動したが、すれ違うすべての人がカイの姿に振り返る。上流階級の者たちが多いこのエリアには、国王や王子・王女たちと直接面識のある人ばかりなため目立ってしまう。
カフェは2階建てで、1階にはショーケースの中に宝石のような色とりどりのケーキが並び、棚にもチョコレートや焼き菓子などがたくさん並んでいる。2階ではそのケーキをコーヒーや紅茶と共に食べられるようになっている。
カイは1階でケーキと紅茶を注文した後、顔見知りらしい店員に軽く手を上げて2階へとアリアを連れてきてくれた。そのまま奥の個室に入り、2人は向かい合って座る。
カイもアリアも、座った途端にホッと息をつき、同時に零れたそれに、お互いを見合って視線が合うと笑いがこみ上げた。
「この距離でもダメだったね」
カイは注目されることに慣れていると思っていたが、そういうわけではないらしい。
「でも……カイ様のことを知らない方はいないでしょう?」
「そうだね。僕は、この国の王子で……次期国王だって皆が思っているから」
カイの眉が下がり、困ったような表情になる。カイとこんな風に顔を合わせるようになってから、何度も見ているその笑顔は哀愁の漂うものだ。
「お仕事は……大変、ですか?……っ、そ、そんなの、大変に決まっていますよね。ごめんなさい。変なことを聞いてしまって……」
口にしてから当たり前のことを聞いてしまった自分が恥ずかしくて、アリアは髪を撫で付けながら慌てて付け足す。すると、カイは軽く首を振った。