情熱のメロディ
「冷たくなっている……」
「カイ様の、手が……熱いから、そう感じるだけです」
アリアの隣に座り、アリアの手を包み込むカイにドキドキしながら言うと、カイはフッと笑って首を傾げた。
「そうかもね。君に触れているから……」
トクン――と、大きく鼓動が響く。
全身が脈打っているのではないかと思うほどの鼓動に、アリアは苦しくなる。でも、その息苦しさは嫌なものではなくて、熱くてふわふわと浮くような感覚の……心地の良いものだ。
「カイ、様……」
ハッと……吐息混じりになんとか搾り出した声は、とても遠くで聴こえて、アリアのものではないような気がした。
見詰め合ったままのカイの首……男性らしい喉仏が僅かに上下する。
「……アリア」
「あ、あのっ!きゃ――」
カイの低めに響いた声にピクリと身体が反応する。咄嗟に振りほどいた手は、空を切り、仰け反った身体がバランスを崩してソファから落ちそうになった。
「アリア!」
それを支えてくれたのは、もちろんカイで……グッと力強い腕が腰に回って引き寄せられる。アリアはカイの胸に顔を埋めるように倒れこんだ。
「あ、ご、ごめんなさ――」
カイの胸に手を当て、慌てて顔を上げると思いのほか近くにカイの顔があって頬がみるみる熱くなった。
アリアの右手がドクドクと脈打つのは、アリアの鼓動が速まっているせいだろうか。
「いや……」
カイはそっとアリアの手首を握り、身体を離す。
「少し、外に出ようか……落ち込んでいるときは、気分転換も必要だよ」
カイはそう言って立ち上がり、譜面台を片付け始めた。アリアも何度か深呼吸をしてバイオリンと譜面を片付けていく。
「カイ様の、手が……熱いから、そう感じるだけです」
アリアの隣に座り、アリアの手を包み込むカイにドキドキしながら言うと、カイはフッと笑って首を傾げた。
「そうかもね。君に触れているから……」
トクン――と、大きく鼓動が響く。
全身が脈打っているのではないかと思うほどの鼓動に、アリアは苦しくなる。でも、その息苦しさは嫌なものではなくて、熱くてふわふわと浮くような感覚の……心地の良いものだ。
「カイ、様……」
ハッと……吐息混じりになんとか搾り出した声は、とても遠くで聴こえて、アリアのものではないような気がした。
見詰め合ったままのカイの首……男性らしい喉仏が僅かに上下する。
「……アリア」
「あ、あのっ!きゃ――」
カイの低めに響いた声にピクリと身体が反応する。咄嗟に振りほどいた手は、空を切り、仰け反った身体がバランスを崩してソファから落ちそうになった。
「アリア!」
それを支えてくれたのは、もちろんカイで……グッと力強い腕が腰に回って引き寄せられる。アリアはカイの胸に顔を埋めるように倒れこんだ。
「あ、ご、ごめんなさ――」
カイの胸に手を当て、慌てて顔を上げると思いのほか近くにカイの顔があって頬がみるみる熱くなった。
アリアの右手がドクドクと脈打つのは、アリアの鼓動が速まっているせいだろうか。
「いや……」
カイはそっとアリアの手首を握り、身体を離す。
「少し、外に出ようか……落ち込んでいるときは、気分転換も必要だよ」
カイはそう言って立ち上がり、譜面台を片付け始めた。アリアも何度か深呼吸をしてバイオリンと譜面を片付けていく。