情熱のメロディ
それも……皆の関心が、次期国王であるカイの結婚に向き始めたことが大きいだろう。カイは22歳、仕事ぶりも申し分なく、国民の期待を背負っている。外見だってとても男性らしくて貴族の娘は誰もが彼の隣に立つことを夢見ているだろう。
ズキン、とアリアの心が疼く。
「お父様もユリア姉様も、自分で真実の愛を手に入れた。お父様とお母様も、ユリア姉様とライナーも、仲が良くてお互いに愛し合っているのがわかる。だから……ミアはマーガレットの花を毎年植えるんだよ」
「花言葉……ですね。素敵」
真実の愛、そして信頼――両親のような夫婦に、そして彼らの育む情熱的な愛に憧れる王女の気持ちが、この花を一際美しくみせるのかもしれない。
「うん。真実の愛と……マーガレットはブレネン家にぴったりの花かもね」
カイは触れていたマーガレットの花を1本摘み、立ち上がってアリアに差し出す。
「君にあげる。ミアには内緒だよ?」
カイは人差し指を唇に当てていたずらに笑う。アリアもふふっと笑ってマーガレットを受け取った。
「ありがとう、ございます」
カイがアリアに“真実の愛”をくれたような錯覚……そうではないと分かっていても、アリアの頬は緩んでしまう。
目を細めてアリアを見ていたカイは、アリアの頭をふわりと撫でた。
「今日はゆっくり休んで。また、明日……笑顔の君に会いたい」
「はい……」
「送っていくよ」
落ち込んでいた心が弾んでいく。たった1輪の花が、カイにもらったというだけでこの世界のどの花よりも美しく輝いて見える。
単純だけれど、カイにアリアを慰める以上の気持ちがないと知っていても、アリアはとても嬉しかった。
ズキン、とアリアの心が疼く。
「お父様もユリア姉様も、自分で真実の愛を手に入れた。お父様とお母様も、ユリア姉様とライナーも、仲が良くてお互いに愛し合っているのがわかる。だから……ミアはマーガレットの花を毎年植えるんだよ」
「花言葉……ですね。素敵」
真実の愛、そして信頼――両親のような夫婦に、そして彼らの育む情熱的な愛に憧れる王女の気持ちが、この花を一際美しくみせるのかもしれない。
「うん。真実の愛と……マーガレットはブレネン家にぴったりの花かもね」
カイは触れていたマーガレットの花を1本摘み、立ち上がってアリアに差し出す。
「君にあげる。ミアには内緒だよ?」
カイは人差し指を唇に当てていたずらに笑う。アリアもふふっと笑ってマーガレットを受け取った。
「ありがとう、ございます」
カイがアリアに“真実の愛”をくれたような錯覚……そうではないと分かっていても、アリアの頬は緩んでしまう。
目を細めてアリアを見ていたカイは、アリアの頭をふわりと撫でた。
「今日はゆっくり休んで。また、明日……笑顔の君に会いたい」
「はい……」
「送っていくよ」
落ち込んでいた心が弾んでいく。たった1輪の花が、カイにもらったというだけでこの世界のどの花よりも美しく輝いて見える。
単純だけれど、カイにアリアを慰める以上の気持ちがないと知っていても、アリアはとても嬉しかった。