情熱のメロディ
「カイと貴女の演奏が近づかない原因は、きっと2つある。1つはこのノートが私たち王家の秘密だから。もう1つは、貴女の夢が秘密だから……そうでしょう?」
「ひ、みつ……?」
アリアが困惑しているとフローラはアリアの頭をそっと撫でる。
「私が秘密を教えてしまったことは、秘密にしてね?カイは、今日はしばらく議会に拘束されるのではないかしら……」
少しだけいたずらっぽい笑顔を浮かべて、フローラはノートのいくつかのページに呪文で印をつけてアリアに渡した。
「読み終わったら、本棚へ戻してね。それから……次に貴女の演奏を聴くときは、秘密を教えて欲しいわ」
「あ――」
フローラはそのまま音楽室を後にしてしまい、声を掛け損ねたアリアはしばらく扉を見つめたまま呆然としていた。
秘密――フローラはアリアの隠していた気持ちを感じ取ったのだろう。彼女がそれをどこまで正確に読み取ったのかは定かではないが、少なくともアリアが意図的に“気持ち”を乗せずに演奏をしていることに気づいたはずだ。
アリアは渡されたノートを胸に抱きしめ、ソファへと腰を下ろす。
「王家の秘密……」
そして、もう1つの秘密がこの古いノートの中にある。王家の秘密をアリアのような娘が知ってしまってもいいものか迷ったけれど、フローラが直接アリアに渡してくれたノートであるから、許可が下りたということなのだろう。
「ひ、みつ……?」
アリアが困惑しているとフローラはアリアの頭をそっと撫でる。
「私が秘密を教えてしまったことは、秘密にしてね?カイは、今日はしばらく議会に拘束されるのではないかしら……」
少しだけいたずらっぽい笑顔を浮かべて、フローラはノートのいくつかのページに呪文で印をつけてアリアに渡した。
「読み終わったら、本棚へ戻してね。それから……次に貴女の演奏を聴くときは、秘密を教えて欲しいわ」
「あ――」
フローラはそのまま音楽室を後にしてしまい、声を掛け損ねたアリアはしばらく扉を見つめたまま呆然としていた。
秘密――フローラはアリアの隠していた気持ちを感じ取ったのだろう。彼女がそれをどこまで正確に読み取ったのかは定かではないが、少なくともアリアが意図的に“気持ち”を乗せずに演奏をしていることに気づいたはずだ。
アリアは渡されたノートを胸に抱きしめ、ソファへと腰を下ろす。
「王家の秘密……」
そして、もう1つの秘密がこの古いノートの中にある。王家の秘密をアリアのような娘が知ってしまってもいいものか迷ったけれど、フローラが直接アリアに渡してくれたノートであるから、許可が下りたということなのだろう。