情熱のメロディ
　先日と同じようにヘアメイクも施してもらい、試着室を出ると、カイがすぐにアリアの方へとやってくる。

　「うん。やっぱりこの色にして良かった。とてもよく似合っているよ」
　「ありがとうございます」

　それからすべてのドレスを試着して、どれをどの場面で着るかを決めていった。１０着あったドレスの中から、いろいろと迷いながらもカイと店主の意見も交えて実際に着るドレスを選んでいく。アリアはほとんど彼らの意見に賛成していたが、最後、白のドレスを着たときだけは頑なに首を振った。

　「しかし、とてもお似合いですよ」
　「いえ……その、素敵だとは思うのですが、私はあちらの方が可愛らしくて好きです。ダメ、でしょうか？」

　アリアがカイに助けを求める視線を送ると、それまで黙っていたカイは少し肩を揺らして眉を下げた。

　「どちらも魅力的だよ。でも、アリアが着るのだから君が気に入ったものを選ぶのが一番だ」
　「そうですか。かしこまりました」

　店主はカイとアリアに向かって頭を下げて選んだドレスを丁寧に包み始める。

　「純白は、結婚式にとっておくべきかもしれないし……ね」

　カイはアリアの隣に立ち、アリアの頭をそっと撫でてくれた。
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