情熱のメロディ
――『君は……何を隠しているの?』
あぁ、違う。隠す必要はないのだ。隠さなければいけないのはアリアの気持ちだけ。
この曲は……アリアが勝手に自分を重ねて壊していい夢ではない。だって、この夢はアリアのものではなく、ミュラーのものだから――…
「アリア!」
演奏が曲の半分ほどに差し掛かったとき、カタンと突然開いた扉と差し込んで来た光に目を細めて顔を向けた。
そこにはカイが息を切らせて立っていて、アリアを見つけると駆け寄り、強く抱きしめてくる。
「良かった。遅くなってごめんね」
「カイ様……」
温かい。どうしようもなくこみ上げてくる切なさに、そしてカイと触れ合っていることに、苦しくなる。2つの全く反対の苦しさがアリアの呼吸を乱し、アリアはカイの背中に両手を回した。
「来てくださって、ありがとうございます」
カイはアリアを信じてくれた。それだけで良いではないか。
次に夢をデュオで演奏するときは、ミュラーの気持ちを一番に考えよう。
カイに選ばれ、初恋の相手と音楽を奏で……音楽祭の舞台に立つ。アリアは十分素敵な夢を見た。
カイには告げることのない、秘密の恋――心の奥底に沈めることを決めたアリアの意識も、だんだんと落ちてい
く。
「アリア?――リア!君、熱が――――!」
カイがアリアを呼ぶ声が遠ざかっていって、そして、聴こえなくなった。
あぁ、違う。隠す必要はないのだ。隠さなければいけないのはアリアの気持ちだけ。
この曲は……アリアが勝手に自分を重ねて壊していい夢ではない。だって、この夢はアリアのものではなく、ミュラーのものだから――…
「アリア!」
演奏が曲の半分ほどに差し掛かったとき、カタンと突然開いた扉と差し込んで来た光に目を細めて顔を向けた。
そこにはカイが息を切らせて立っていて、アリアを見つけると駆け寄り、強く抱きしめてくる。
「良かった。遅くなってごめんね」
「カイ様……」
温かい。どうしようもなくこみ上げてくる切なさに、そしてカイと触れ合っていることに、苦しくなる。2つの全く反対の苦しさがアリアの呼吸を乱し、アリアはカイの背中に両手を回した。
「来てくださって、ありがとうございます」
カイはアリアを信じてくれた。それだけで良いではないか。
次に夢をデュオで演奏するときは、ミュラーの気持ちを一番に考えよう。
カイに選ばれ、初恋の相手と音楽を奏で……音楽祭の舞台に立つ。アリアは十分素敵な夢を見た。
カイには告げることのない、秘密の恋――心の奥底に沈めることを決めたアリアの意識も、だんだんと落ちてい
く。
「アリア?――リア!君、熱が――――!」
カイがアリアを呼ぶ声が遠ざかっていって、そして、聴こえなくなった。