情熱のメロディ
覚悟

(1)

 アリアが目を覚ましたとき、アリアは自分の部屋のベッドで寝かされていた。身体が重く、呼吸が荒い。おそらくかなり高い熱がある。

 手の甲を額に当てて、大きく息を吐き出してから身体に力を入れて上半身を起こす。手首の痛みがなくなっているのは、きっとすでに治療が施されたからだろう。頭はくらくらするが、なんとかベッドに座る体勢となり、また息をついた。

 汗をかいたせいでナイトウェアが肌にはりついて気持ち悪い。

 「あら、アリア、起きたの?まだ熱があるのだから寝ていないと……」

 すると、氷を変えに行っていたらしい母のヴェラが部屋へと入ってきて、アリアを咎める。

 「でも、着替えを……」
 「あぁ、そうね」

 ヴェラはクローゼットから新しいナイトウェアを出し、アリアの着ているそれを脱がせるとタオルで汗を拭いてくれた。

 着替えが終わると、アリアはまたベッドへ横になり、ヴェラが額にタオルを置いてくれる。

 「カイ様が貴女を送ってくださったのよ。貴女に怪我をさせてしまったって……何度も謝っていてね」
 「カイ様は悪くないわ。私が……自信がないなんて、言ったから……」

 アリアは自分を叩いたときのフリーダの表情を思い出して眉を顰めた。
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