情熱のメロディ
数日後、アリアはベッドでバイオリンを弾いていた。体調は回復したのだが、まだ大事をとってベッドから出してもらえず退屈しているのだ。
すでに完璧な形になっているソロの曲を軽く通して弾いていく。高熱が続いた2日間ほどはバイオリンに触れられなかったから少し心配だったが、この分なら問題なさそうだ。
カイとのデュオも、どうやって弾くのかを決めたせいか心のしこりが取れたように思う。あとは最終確認と音楽祭だけ――アリアの夢の時間が終わろうとしている。
そんなことを考えながら、しばらく演奏を続けていると部屋の扉がノックされ、アリアは手を止めた。
「お母様?」
いつまでも開かない扉に向かってアリアが首を傾げると、遠慮がちにゆっくりと扉が開く。そこに立っていた人物に、アリアは思わず息を呑んだ。
「アリア……久しぶり」
「カイ、様?」
カイの笑顔は心なしか硬く、アリアは慌てて頭を下げた。
「先日は……ご迷惑をおかけしました。屋敷まで送っていただいた上にクラドールまで……」
「そんなこといいんだ。僕の責任でもあるから……でも、元気になったみたいで良かった。あの、入ってもいいかな?」
「は、はい」
アリアが返事をすると、カイは扉を後ろ手に閉めてベッドまでやってくる。アリアはヴェラが使っていた椅子を使うように勧め、カイがそれに従って座る。
すでに完璧な形になっているソロの曲を軽く通して弾いていく。高熱が続いた2日間ほどはバイオリンに触れられなかったから少し心配だったが、この分なら問題なさそうだ。
カイとのデュオも、どうやって弾くのかを決めたせいか心のしこりが取れたように思う。あとは最終確認と音楽祭だけ――アリアの夢の時間が終わろうとしている。
そんなことを考えながら、しばらく演奏を続けていると部屋の扉がノックされ、アリアは手を止めた。
「お母様?」
いつまでも開かない扉に向かってアリアが首を傾げると、遠慮がちにゆっくりと扉が開く。そこに立っていた人物に、アリアは思わず息を呑んだ。
「アリア……久しぶり」
「カイ、様?」
カイの笑顔は心なしか硬く、アリアは慌てて頭を下げた。
「先日は……ご迷惑をおかけしました。屋敷まで送っていただいた上にクラドールまで……」
「そんなこといいんだ。僕の責任でもあるから……でも、元気になったみたいで良かった。あの、入ってもいいかな?」
「は、はい」
アリアが返事をすると、カイは扉を後ろ手に閉めてベッドまでやってくる。アリアはヴェラが使っていた椅子を使うように勧め、カイがそれに従って座る。