情熱のメロディ
「カイ、様っ、ちゃんと、教えてくださ――」
「アリア……お願い。何も言わないで」
アリアの掠れた声とカイの搾り出すような声が被さって、カイがアリアから離れていく。また――そう、思ったときにはアリアの身体は考える前に動いていた。
カイに縋りつくように足を前へ出す。身体がカイの方へ傾き、その重さと勢いでアリアの予想外の行動に驚いたカイが後ろへ倒れこむ。
芝生の上に尻餅をついたカイの上にアリアが乗り、アリアはそのままカイの唇に自分のそれを近づけた。
カツッと歯が当たって、カイもアリアも小さく声を上げる。アリアはそのまま嗚咽を漏らして泣き始めた。
痛いのは心の方だった。アリアから離れようとするカイの気持ちがわからない。それを、泣きながら駄々を捏ねることしかできない自分にも苛立つ。ファーストキスはもっとロマンチックだと思っていたのに、勢いで自分からしてしまった挙句に歯がぶつかってしまったことが恥ずかしくて、悔しくて……何もかもがぐちゃぐちゃで、感情があふれ出す。
「ど、して――っ!カイ様は私の気持ちを知っているのに!私が貴方を――」
ヒステリックに叫ぶアリアの腕を、カイが力強く引き寄せる。
滅茶苦茶だったアリアの思考がピタリと止まり、真っ白になって、アリアは目の前のカイの顔を、目を見開いて見つめた。先ほどとは違う……柔らかくて温かい感触。
「アリア……お願い。何も言わないで」
アリアの掠れた声とカイの搾り出すような声が被さって、カイがアリアから離れていく。また――そう、思ったときにはアリアの身体は考える前に動いていた。
カイに縋りつくように足を前へ出す。身体がカイの方へ傾き、その重さと勢いでアリアの予想外の行動に驚いたカイが後ろへ倒れこむ。
芝生の上に尻餅をついたカイの上にアリアが乗り、アリアはそのままカイの唇に自分のそれを近づけた。
カツッと歯が当たって、カイもアリアも小さく声を上げる。アリアはそのまま嗚咽を漏らして泣き始めた。
痛いのは心の方だった。アリアから離れようとするカイの気持ちがわからない。それを、泣きながら駄々を捏ねることしかできない自分にも苛立つ。ファーストキスはもっとロマンチックだと思っていたのに、勢いで自分からしてしまった挙句に歯がぶつかってしまったことが恥ずかしくて、悔しくて……何もかもがぐちゃぐちゃで、感情があふれ出す。
「ど、して――っ!カイ様は私の気持ちを知っているのに!私が貴方を――」
ヒステリックに叫ぶアリアの腕を、カイが力強く引き寄せる。
滅茶苦茶だったアリアの思考がピタリと止まり、真っ白になって、アリアは目の前のカイの顔を、目を見開いて見つめた。先ほどとは違う……柔らかくて温かい感触。