情熱のメロディ
 重なっていた唇がそっと離れていく。

 カイはアリアの頬を撫でてから、髪に指を絡めるようにアリアの頭を支えて引き寄せる。もう一度、重なる唇は迷うように震える吐息を吐き出しながらアリアの唇を啄ばんでいく。

 アリアはその温もりに身体の力を抜いてカイに自身を委ねた。カイは何度も短いキスをして、その唇を頬や目尻にも落としてくれた。同時に、カイの手もアリアのうなじへと降り、肩を撫でる。

 カイのキスが首筋に降り、彼の手はアリアの細い腰を引き寄せて2人の距離はどんどん近くなっていく。

 ドレスの上からでもカイの熱が伝わってくる。カイの指先は震えていたけれど、アリアの存在を確かめるように身体を辿った。

 腰を撫でていた手がゆっくりと背を上がり、そして胸の膨らみへと近づいていく。アリアは思わず熱い息を吐き出した。

 こんな感覚は知らない――触れられると思うだけで身体の奥が切なくなって泣きそうになる。ここが外だということを忘れそうになるくらい2人の体温は熱かった。

 「アリア……」
 
 外の空気に晒された肩にカイの熱い唇が押し付けられて、アリアはピクリと身体を跳ねさせた。そのままカイの手がアリアの胸に触れ、ドレスと素肌の境界線を弄っていく。カイの声が身体中に響き、次の瞬間、アリアの視界は反転して、カイの端正な顔がもう一度近づいてきた。

 アリアの願いが届けばいい。どうか、このまま――…

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