情熱のメロディ
情熱のメロディ
(1)
そして音楽祭当日。
アリアは控え室で衣装替えをしていた。ドキドキと高鳴る心臓は、これからの演奏を楽しみにしている気持ちと大舞台でのパフォーマンスへの不安な気持ち、そして……カイへの想いを曝け出そうという決意から来るものだ。
お昼に行われたソロのコンサートでも緊張はしたけれど、いつもとは違う人々――他国からの観光客――も混じった会場で、たくさんの人に音楽を聴いてもらえるという喜びの方が勝っていた。
アリアの音はいつになく遠くへ響き、アリア自身とても気持ちよく演奏を終えることができた。演奏後はしばらく放心状態だったけれど、観客からの拍手や客席の笑顔に胸が熱くなって思わず泣きそうになった。
音楽祭の舞台に立てた人はたくさんいたはずだ。その中で選ばれたアリアは、誰よりも前を向いていなくてはいけない。自信を失くしかけたこともあったけれど、最も名誉な舞台で誰にも恥じない演奏ができたことを誇りに思う。
「さぁ、できました」
以前もアリアの身支度をしてくれた服飾店の店員は、満面の笑みで鏡越しにアリアを見る。アリアも鏡の中の自分を見ると、昼間とは違う大人びた女性がいた。
少し赤みが強めのワインレッドのドレスに身を包み、大きな二重の目元にはスッとアイラインが引かれ、鼻筋を少し強調したメイクのせいかかなり雰囲気が変わって見える。
髪はすっきりとまとめられ、アリアの気持ちをも引き締めるようにひとつに結ばれている。
「ありがとうございます」
「アリア様の演奏、私も楽しみにしております」
アリアは店員に笑顔を返し、立ち上がった。
アリアは控え室で衣装替えをしていた。ドキドキと高鳴る心臓は、これからの演奏を楽しみにしている気持ちと大舞台でのパフォーマンスへの不安な気持ち、そして……カイへの想いを曝け出そうという決意から来るものだ。
お昼に行われたソロのコンサートでも緊張はしたけれど、いつもとは違う人々――他国からの観光客――も混じった会場で、たくさんの人に音楽を聴いてもらえるという喜びの方が勝っていた。
アリアの音はいつになく遠くへ響き、アリア自身とても気持ちよく演奏を終えることができた。演奏後はしばらく放心状態だったけれど、観客からの拍手や客席の笑顔に胸が熱くなって思わず泣きそうになった。
音楽祭の舞台に立てた人はたくさんいたはずだ。その中で選ばれたアリアは、誰よりも前を向いていなくてはいけない。自信を失くしかけたこともあったけれど、最も名誉な舞台で誰にも恥じない演奏ができたことを誇りに思う。
「さぁ、できました」
以前もアリアの身支度をしてくれた服飾店の店員は、満面の笑みで鏡越しにアリアを見る。アリアも鏡の中の自分を見ると、昼間とは違う大人びた女性がいた。
少し赤みが強めのワインレッドのドレスに身を包み、大きな二重の目元にはスッとアイラインが引かれ、鼻筋を少し強調したメイクのせいかかなり雰囲気が変わって見える。
髪はすっきりとまとめられ、アリアの気持ちをも引き締めるようにひとつに結ばれている。
「ありがとうございます」
「アリア様の演奏、私も楽しみにしております」
アリアは店員に笑顔を返し、立ち上がった。