情熱のメロディ
(2)
その日の夜。
すべてのイベントが終わり、アリアは後夜祭に参加するために城へとやってきた。まだ高揚した気持ちは残っているが、すべてを出し切った充実感で満たされている。
客室で身支度を終えたアリアは大広間へ向かって廊下を進んで行き、扉の前にすでに待機していたカイに挨拶をした。
「カイ様、今日はどうもありがとうございました。カイ様のおかげで、とても素晴らしい演奏ができました」
「っ、アリア――」
「今日だけじゃなくて……練習や、音楽祭のゲストに推薦していただいたことも全部、感謝しています」
アリアは淡々と今までのお礼を言っていく。
それは、不思議な感覚だった。偽りなく、アリアの心の中をすべて曝け出したからなのか、アリアの口からはすらすらと言葉が流れ出て、笑顔も自然に浮かべることができた。
後悔はしていない。音楽家として、そしてカイに想いを寄せる女性として……最高の舞台を表現できたから、悔いなんてないのだ。
アリアは前へ進む――カイが、望むままに。
しかし、アリアの真っ直ぐな視線を受け止めたカイは、くしゃりと顔を歪めて泣きそうな顔をした。
「アリア……君、ドレスは……?」
「姉が……お祝いに作ってくれたんです。似合いませんか?」
アリアは水色と白の可愛らしいドレスを着ていた。右の胸元に大きなリボンがついていて、スカートはレースとオーガンジーがふんだんに使われてふわりとしている。
カイが後夜祭用に作ってくれたものではない。
すべてのイベントが終わり、アリアは後夜祭に参加するために城へとやってきた。まだ高揚した気持ちは残っているが、すべてを出し切った充実感で満たされている。
客室で身支度を終えたアリアは大広間へ向かって廊下を進んで行き、扉の前にすでに待機していたカイに挨拶をした。
「カイ様、今日はどうもありがとうございました。カイ様のおかげで、とても素晴らしい演奏ができました」
「っ、アリア――」
「今日だけじゃなくて……練習や、音楽祭のゲストに推薦していただいたことも全部、感謝しています」
アリアは淡々と今までのお礼を言っていく。
それは、不思議な感覚だった。偽りなく、アリアの心の中をすべて曝け出したからなのか、アリアの口からはすらすらと言葉が流れ出て、笑顔も自然に浮かべることができた。
後悔はしていない。音楽家として、そしてカイに想いを寄せる女性として……最高の舞台を表現できたから、悔いなんてないのだ。
アリアは前へ進む――カイが、望むままに。
しかし、アリアの真っ直ぐな視線を受け止めたカイは、くしゃりと顔を歪めて泣きそうな顔をした。
「アリア……君、ドレスは……?」
「姉が……お祝いに作ってくれたんです。似合いませんか?」
アリアは水色と白の可愛らしいドレスを着ていた。右の胸元に大きなリボンがついていて、スカートはレースとオーガンジーがふんだんに使われてふわりとしている。
カイが後夜祭用に作ってくれたものではない。