情熱のメロディ
「カイ様……!カイ様、お待ちください!カイ様!」
掴まれた手を振りほどくことが出来ないまま、アリアは階段を上がっていく。カイは一度も振り返らずに2階を過ぎ、そして3階へと歩を進める。周りの人々に圧倒され、カイの突然の行動にも驚きされるがままだったアリアも、さすがに不安になって階段の手すりを掴んで足に力を入れた。
「カイ様っ!」
アリアが一際大きな声でカイを呼び止めると、カイはようやく振り返ってアリアを見た。
「君が、好きなんだ」
その瞳がとても強くアリアを射抜くような輝きを放っていて、アリアは息を呑んだ。その瞬間、カイは今までにないくらい強い力でアリアを引き寄せ、そして……唇を奪った。
重なった唇は熱くて、アリアを溶かしていくよう。
「君は……呆れたかもしれない。僕は、お父様がお母様を攫ったみたいに君の手を引けなかった。こんな風に、皆に言われてからじゃなきゃ――君を傷つける人がいないって、君の気持ちが僕と同じだって、気づいてからじゃなきゃ――告白もできない情けない王子だ」
唇が離れ、しかし、まだ吐息のかかる距離でカイが想いを告げる。
「君の音楽家としての道を断つ覚悟ができなかった。音楽より僕を選んでも後悔させないって言える自信がなかった」
カイはアリアの頬をそっと大きな手で包み、「ごめん」と言う。
掴まれた手を振りほどくことが出来ないまま、アリアは階段を上がっていく。カイは一度も振り返らずに2階を過ぎ、そして3階へと歩を進める。周りの人々に圧倒され、カイの突然の行動にも驚きされるがままだったアリアも、さすがに不安になって階段の手すりを掴んで足に力を入れた。
「カイ様っ!」
アリアが一際大きな声でカイを呼び止めると、カイはようやく振り返ってアリアを見た。
「君が、好きなんだ」
その瞳がとても強くアリアを射抜くような輝きを放っていて、アリアは息を呑んだ。その瞬間、カイは今までにないくらい強い力でアリアを引き寄せ、そして……唇を奪った。
重なった唇は熱くて、アリアを溶かしていくよう。
「君は……呆れたかもしれない。僕は、お父様がお母様を攫ったみたいに君の手を引けなかった。こんな風に、皆に言われてからじゃなきゃ――君を傷つける人がいないって、君の気持ちが僕と同じだって、気づいてからじゃなきゃ――告白もできない情けない王子だ」
唇が離れ、しかし、まだ吐息のかかる距離でカイが想いを告げる。
「君の音楽家としての道を断つ覚悟ができなかった。音楽より僕を選んでも後悔させないって言える自信がなかった」
カイはアリアの頬をそっと大きな手で包み、「ごめん」と言う。