彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
突然の引っ越しだった。


親が転勤族だったこともあり、上川はあっという間に俺たちの前から姿を消してしまった。


諒はその日この河川敷で泣いて泣いて泣きまくって。


それで、スッキリ忘れてしまうために走り回ったんだ。


「うわー!」とか「うおー!」とか、そんな奇声をあげながら。


俺たち3人はそんな諒を少し上の方から見ていた。


どう慰めていいのかもわからなかったし、おいて帰ることもできなかった。


そして、同じ仲間だと思われるのも恥ずかしくて、ただ見ていた。


「諒、すごく叫んでいたね」


薫子が楽しそうに言う。


「もう……やめてくれよ……」


諒は赤面したままブンブンと首を左右にふった。


諒にとって一番思い出したくない過去だったようだ。
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