彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
そして……。


「結音ってば諒がかわいそうよ」


笑いながら美奈がそう言い、薫子の肩を叩いたのだ。


一瞬、時間が止まったかのように感じた。


それは自然と出てきてしまった名前に過ぎなかった。


結音にそっくりで、記憶まで同じ薫子。


呼び間違えても仕方のない事だった。


「あ……ごめんなさい」


美奈は咄嗟に謝る。


でも……。


なぜか俺の心は満足していた。


結音にそっくりな人形を持っている。


思わず結音と呼んでしまうような人形を。


それが、単純に嬉しいと感じていた。
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