彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
美奈と諒が真っ白なドアの前で立ち止まり、俺が病室をノックする。


返事は……ない。


どうやら今日も両親は留守のようだ。


「結音、入るぞ」


そう声をかけてドアを開ける。


真っ白なシーツにくるまれて呼吸を繰り返す結音。


見慣れたその姿だけれど、今日は妙に胸がざわついている。


どうしてだろう?


そう思ったとき、薫子が俺の手を握った。


その温もりに安心感を抱く俺。


そして、気が付いたんだ。


そうか、俺は今薫子と一緒に生活をしている。


結音よりも薫子との方が密接な関係にある。


だからだ。


だから、同じ顔をした結音が眠っているのが違和感なんだ。
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