彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
俺は商店街の入り口で膝に手を付き、呼吸を整えた。


どこにも薫子の姿はない。


汗が頬を伝って地面にシミを作った。


薫子に突き飛ばされた胸の上あたりが痛み始める。


もしかしたら行ったことのない場所に1人でフラリと行ってしまったのだろうか?


複雑な精神状態を持っている人間ならそれもあり得る。


だけど薫子は人形だ。


フラリと出かけたくなるようなことがあるかどうかなんて、わからない。


でも、もしそんなことがあったら?


なんせ彼女人形は精密に作られた人形だ。


元は人間だったなんて噂もあるくらいだ。


もう一度家に戻って、それから考えなおした方がいいのかもしれない。


そう思い、俺は家がある方を見る。


そして歩き出そうとした時、ポケットで携帯電話が震え始めた。


確認すると諒からの着信だった。
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