彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
そしてその時、呼吸が少しだけ荒くなる。


まるで、夢の中でなにかから逃げているように。


「人形って……まさか……」


「お前の持っている人形以外になにがあるんだよ」


諒が当たり前だというようにそう言った。


「でも……でも……何で薫子の名前を呼ぶんだよ……」


全身から汗が噴き出していた。


秋だというのに熱くて、空調が壊れているのかと感じるくらいだった。


「突き落とされたからだ」


諒がいとも簡単に俺に爆弾を落とした。


ズンッと重たい鉛を腹の上に置かれたような感覚。


薫子が、美奈を、突き落とした……。


うっすらと考えていた事だった。


もしそうだったらどうしよう。


いや、そんなことがあるワケない。
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