彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
「山下……陽子……」


それが薫子の生前の名前。


そして山下陽子は人形により殺されて……自らも人形として命を吹き返した……。


にわかには信じられない事態だった。


頭の中が混乱している。


「待てよ。人形を壊したという事は、人形に嫌悪をいたからだ。なのにどうして人形として蘇ったりなんか……」


そこまで考えて、ハッとした。


そうだ。


山下陽子は自分の意思で人形になったワケじゃないんだ。


あれは山下陽子を生き返らせたいと願った人間がいるから、人形になってしまったんだ。


「何を見ているの?」


後方から突然声がして、俺は振り向いた。


いつの間にか薫子がそこに立っている。


いつの間に?


なんの物音も聞こえなかった。
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