彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
スイッチ
俺は何食わぬ顔で家族と一緒に夕飯を食べ、テレビを見て、風呂に入って過ごした。


それはごく当たり前の家族の団らん。


だけど、俺にとっては最後になる覚悟を込めた団らんだった。


いつもよりオーバーに笑い、いつもより家事を手伝い、いつもより父親と長く会話をする。


そしてそんな時間はあっという間に過ぎって行った。


時刻は夜の11時。


「明日も仕事だ。そろそろ寝よう」


気分よく晩酌していた父親がそう言い、ソファから立ち上がる。


それとほぼ同時に母親がコップを片づけはじめる。


「洗い物は俺がやるよ」


俺は母親よりも先にシンクに立ってそう言った。


「あら、これ洗うだけだから大丈夫よ?」


「母さん、明日も仕事だろ? 家を出るのは俺の方がゆっくりなんだから、いいって」


そう言い、コップを受け取る。
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