彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
記憶違い
俺の家は丘の上にあった。


日当たりはいいが、坂道は多い。


新しい住宅街が並ぶ中の、一番端の茶色い屋根の家だった。


玄関のカギは開いている。


もう両親が仕事から帰っている時間だった。


「ただいま」


そう言い、玄関を入る。


するとリビングダイニングから母親が顔を出した。


料理の最中だったのか青いエプロンを付けている。


小学校の家庭科の授業で俺が母親へ作ったものだ。


その母親は『おかえり』の『お』の口の形をしたまま、固まっている。


その視線は俺の隣に立っている薫子に向けられている。
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