彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
薫子は微かに笑みを浮かべながらそう言った。


「え……」


サッと青ざめる。


目を閉じて充電していたくせに、俺の行動はすべて見えていた。


ということになる。


俺は何と返事をすればいいかわからなかった。


素直に認めて許してもらえるとは思えない。


だけど、否定してどうにかなるとも思えない。


思考回路は完全に停止する。


俺を見下ろしている薫子にひたすら怯えるしかない。


薫子は倒れている俺の上に覆いかぶさるようにして、小首を傾げる。


「ねぇ、このスイッチとっても大切なの。燈里でも、簡単に触っちゃダメなの」


ゆっくりと丁寧に説明する薫子。


それが余計に恐ろしさを倍増させていた。
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