彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
俺の言葉に途端に笑顔を消す薫子。


俺の心臓はドクンッと跳ねる。


ここで妙な事を言えば何をされるかわからない。


「文化祭の話しあいがあるんだ」


俺は最もらしい事を口にしていた。


俺の学校は3年生に上がると文化祭の手伝いはほとんどしない。


けれど、文化祭間近だということは事実だった。


「そっか。そうなんだ、燈里頑張ってね!」


薫子はそう言い、嬉しそうに手を叩く。


その反応にホッとすると同時に結音が同じように喜んでいた事を思い出した。


文化祭や体育祭といった学校行事がとても好きな結音は、他の生徒たちに比べてもとても熱心に準備をしていたっけ。


薫子にはその時の記憶がちゃんと引き継がれていたのだ。


よかった。


文化祭の話を出したのはとりあえず正解だったようだ。


俺はそう思い、すぐに着替えをすませて部屋を出たのだった。
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