彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
色とりどりの風船が部屋中に転がり、壁にはハートに切り取られた画用紙が張られている。


どれも俺の部屋のクローゼットに押し込まれていたものだ。


去年の文化祭で使わなかった道具を引き取ったものだった。


「燈里はあたしを裏切ったりしない。そのことがわかっていたのよ」


薫子が後ろからそう言い、指先で俺の首に触れた。


咄嗟に首を絞められたときの感覚を思い出し、バッと体を反転させて振り向いた。


薫子はクスクスと楽しそうに笑っている。


「今日は記念日だから、頑張って飾り付けをしたのよ」


薫子は跳ねるように歩いて部屋に入る。


「……なにが記念日だよ……」


思わず口に出す。


胸の奥から気持ち悪さがこみあげてくるのがわかった。


今すぐ吐き出してしまいたい衝動にかられるが、俺はそれを飲み込んだ。


本当に吐いたって気持ちがスッキリするものでもない。
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