彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
「ねぇ、燈里」


薫子が粘つく声で俺の名前を呼ぶ。


その手が俺の手に触れて、一瞬ビクリと体が震えた。


今度はなに考えているんだ?


警戒しながら薫子を見る。


「あたし本当に嬉しいんだよ?」


薫子はそう言い、指をからませる。


細くて繊細な手に女性らしさを感じる。


「やっとあたしたち、本当の恋人になれたと思わない?」


耳元で囁きかける。


結音にそっくりな薫子は確かに魅力的だった。


誘われれば付いて行ってしまうかもしれなかった。


でも、結音がいる限り、薫子が俺の中で一番になることはない。


絶対に。


俺は絡められている手を振りほどいた。。


「お祝いはもういいだろう。課題が出ていて忙しいんだ」


そう言い放ち俺は机に向かったのだった。
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