彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
「なに言ってんだよ、できるワケないだろ」


俺は鼻で笑ってナイフを薫子へ突き返した。


結音を殺せだと?


なにバカな事を言っているんだ。


「あたしの生みの親を殺せても、あの女の子は殺せないの?」


薫子の声色が変化する。


低く、冷たくなり、なんの感情も読み取れない声。


恐怖が体の内側をかけぬける。


しかし俺はそれを表に出すことはなかった。


ここでひるめば薫子の思うつぼだ。


怖くても、我慢するんだ。


「結音は俺の大切な人だ。でも別れたんだから、もう無関係だろ」


「燈里にはあたし1人いればいい! 似た女なんかいらないでしょ!」
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