彼女人形(ホラー)‐彼氏人形続編‐
悔しくて悲しくて情けなくて仕方がない。


なのにどうして俺は死んでいないんだろう。


どうして俺は結音を殺しに来ているんだろう。


止まっていた涙があふれ出す。


ノックをせず、ドアを開ける。


暗い室内に月明かりが入り込み、眠っている結音を照らし出している。


俺は音をたてないようにそっとベッドへ近づいた。


透き通るような透明感のある肌に、そっと触れる。


暖かな肌。


やっぱり人の肌は人形とは違う。


薫子はよくできているけれど、その肌の奥にはホルマリンが詰められているということが分かってしまった。


俺はかがんで結音の耳に自分の口を近づけた。
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